2016年9月5日月曜日

工藤かずや・池上遼一「信長」トレース問題

ビッグコミックオリジナル連載「信長」。
最終章連載中にこの問題が持ち上がり、連載は完結したが単行本の最終8巻は刊行されなかった。

Wikipediaによると「物語の終末間近に『安土天守・障壁画の章』で、安土城のカットが資料の無断使用に当たるとして問題となった」とあるが、これはどうも違ったような気がする。

藤井尚夫氏の城の図面をトレースしたのが問題になったのではなかったか。

新府城の図面、雑誌掲載時


2003年に単行本化された際の図面


まあオリジナルである藤井尚夫氏の図面を見ると上の図とも多少違っており、
そのままトレースしたのではなく参考にしたのだということはわかった。

代表的なのは上のものだが、その他にも数限りなく修正箇所があるので、よほど色々なところから引用していたのだな、ということが見て取れる。

『安土天守・障壁画の章』では障壁画にかなり変化がある。


雑誌掲載時


単行本


下の鎧武者の鎧兜・刀のデザインの違いはすぐわかるが、真ん中の絵も全面書き換えられており、上の絵もなぜか反転処理がなされている。

また、城のトレースの他に映画「影武者」の写真資料からのトレースも有名で、
如実に影響が現れているのがこちら。

雑誌掲載時


単行本

もう少しがんばれよと言いたくなるくらいのひどさ。
全面的すぎてもう書き換える気力がなかったのだろうか。
家紋でごまかすのは新しい。
兜だけは書き換えてるのね。

ちなみに元になった画像はこちら

http://blogs.yahoo.co.jp/yukiaien/19126254.html
(こちらのブログから引用させてもらいました)

兜のデザインもそのままで、「これぞトレース!」という感じですね。
「乱」や「蜘蛛巣城」からのトレースも多いとのことなので、全て検証してくれるサイトが出ないかなと思う次第。

単行本化は一体どのような作業で進められたのか・・・
どこをトレースで描いたか分かっているのは池上先生だから、その箇所をいちいち描き直していったのだろうか。トレースに関してはおおらかだった時代の感覚のままで描いていたら訴えられ、その後作品は10年以上封印状態。自分の黒歴史と向き合うのは一体どんな気持ちだったのか?

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